1月
● 1月15日
- 高橋 和征 (弁護士)
- 日本アイ・ビー・エム(会社分割)事件 最二小判 平成22年7月12日 労判1010号5頁
- 会社分割における5条協議について、特定の労働者との関係で5条協議が全く行われなかった場合や、説明や協議の内容が著しく不十分で5条協議の趣旨に反することが明らかな場合には、5条協議違反として当該労働者が労働契約承継の効力を争うことができるとされた例。
- 大石 玄
- 通販新聞社事件 東京地判 平成22年6月29日 労働判例1012号13頁
- 業界紙の編集長であった原告労働者を懲戒解雇した旨を社告等に掲載したことにつき,原告の社会的評価を低下させるものであって名誉毀損の不法行為が成立するとされ,名誉回復措置として謝罪広告の掲載が命じられた例。
● 1月22日
- 所 浩代 (北海道大学助教)
- 国・園部労基署長(障害等級男女差)事件 京都地判 平成22年5月27日 労判1010号11頁
- 業務上の災害によって全身にやけどを負った男性の労災保険による補償において、外貌の醜状障害の等級に男女差を設けたことが憲法14条1項に違反するとして労災認定処分が取り消された例。
- 山田 哲 (東京農大網走)
- 解雇係争期間中の社会保険の取り扱いと所得保障について
2月
● 2月5日
- 後藤 雄則 (弁護士)
- 日本工業新聞社事件 東京地判 平成22年9月30日 労経速2088号3頁
- いわゆる合同労組の執行委員長の配転についての団交申入れに会社が応じなかったこと等は不当労働行為にあたらないとした中労委命令を相当とした例。
- 早坂 悟郎 (弁護士)
- 第三相互事件 東京地判 平成22年3月9日 労判1010号65頁
- X社の経営するクラブのホステスが,X社との間で締結した売掛金の連帯保証契約につき,公序良俗に反するとは言えないとされた事例。
- クラブのホステスにつき,当該事案においては,労基法上の「労働者」にあたり,X社との入店契約は労働契約の実質を有するとされた事例。
- X社の就業規則記載の罰金条項につき,その一部は労基法91条に違反しない範囲で有効であるに過ぎず,残部は公序良俗に反し無効であり,労基法24条に反し全額違法であるとされた例。
● 2月12日
- 淺野 高宏 (弁護士,北海道大学)
- 医療法人大生会事件 大阪地判 平成22年7月15日 労判1014号35頁
- 使用者は労基法の規制を受ける労働契約の付随義務として、信義則上、労働者にタイムカード等の打刻を適正に行わせる義務を負っているだけでなく労働者からタイムカード等の開示を求められた場合には、その開示が濫用にわたると認められるなどの特段の事情がない限り、保存しているタイムカード等を開示すべき義務を負うとして、正当な理由なく労働者にタイムカード等の打刻をさせなかったり、特段の事情なくタイムカード等の開示を拒絶したりする行為は、違法性を有し不法行為を構成するとして使用者に慰謝料の支払いが命じられた例。
- 山田 哲 (東京農大網走)
- 港湾労働安定協会(年金減額)事件 神戸地判 平成22年4月9日 労判1013号147頁
- 産業別年金の減額が受給権者の手続き的関与を欠き無効であるとして、将来分も含め減額前の年金額の支払い請求を認容した例
● 2月19日
- 戸谷 義治 (日本学術振興会特別研究員,北海道大学大学院)
- スガツネ工業事件 東京地判 平成22年6月29日 判例時報2092号155頁
- 従業員がした退職の意思表示が心裡留保にあたるなどという主張が認められず、元雇用主に対する地位確認請求乃至損害賠償請求がいずれも棄却された事例。
- 南 健悟 (小樽商科大学)
- 大庄ほか事件 京都地判 平成22年5月25日 労判1011号35頁
- 新卒飲食店員の長時間労働下の心不全死と会社・取締役の責任。
- 参考) 南健吾 「取締役の労働者に対する損害賠償責任――取締役の対第三者責任規定の適用範囲」
労働法律旬報1737号6頁(2011年2月)
● 2月26日
- 片桐 由喜 (小樽商科大学)
- 加藤 智章 (北海道大学)
- 社会保障法と判例――重婚的内縁配偶者と遺族給付の帰趨
3月
● 3月5日
- 鎌田 耕一 (東洋大学)
- 道幸 哲也 (北海道大学)
● 3月19日
- 香川 志野 (弁護士)
- 社会福祉法人賛育会事件 東京高判 平成22年10月19日(労働判例1014号5頁)
- 戸谷 義治 (学振研究員,北海道大学)
- アウトソーシング事件 津地判 平成22年11月5日(労働判例1016号5頁)
- 派遣契約が解除されたことを理由として登録型派遣労働者が解雇された事案におい
て、登録型派遣労働契約の解雇についても一般の労働契約の場合と異なるものではなく、派遣契約の終了が当然に派遣労働契約の終了事由となると解するべきではないとした上で、有期労働契約の期間内の解雇はやむを得ない事由がある場合に限って許されるところこの要件は期間の定めのない労働契約の解雇に関する権利濫用法理の要件よりも厳格に解すべきであるとし、やむを得ない事由があると認められる程度までには解雇回避努力義務等を果たしたとも言えないとして解雇を無効とし、賃金請求等を認容した事例。
● 3月26日
- 南 知里 (弁護士)
- プラスパアパレル協同組合(外国人研修生)事件 福岡高判 平成22年9月13日 (労働判例1013号6頁)
- 外国人実習生に長時間労働を強制し最低賃金を下回る違法な労働をさせた責任は受入れ機関にもあるとして損害賠償義務を認めた事例。
- 中島 哲 (弁護士)
- 高年齢者の雇用継続をめぐる判例状況
- 東京大学出版会事件 東京地判 平成22年8月26日(労働判例1013号15頁)
4月
● 4月2日
- 松田 朋彦 (北海道大学大学院)
- 大阪府板金工業組合事件 大阪地判 平成22年5月21日(労働判例1015号48頁)
- 被告Y組合の従業員である原告らが、被告Y組合に対して、減額されたと主張する賞与および賃金の支払い、原告X1が降格前の地位にあることの確認、X1らが配転後の地位または部署で勤務する義務のないことの確認、およびX1らが女性差別であると主張する取扱いに対する損害賠償の支払いを求めた事案。
- 山田 哲 (東京農大網走)
- 大阪京阪タクシー事件 大阪地判 平成22年2月3日(労働判例1014号47頁)
- 就業規則変更による新賃金体系制定には一定の合理性があるが、改訂前賃金体系による算定に比して20%以上減額する限度で合理性が認められないとして、個人原告X1らによる差額賃金の支払い請求が一部認容された例。
● 4月9日
- 迫田 宏治 (弁護士)
- 阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第3)事件 東京地判 平成22年9月29日(労働判例1015号5頁)
- 募集型企画旅行の添乗業務に従事した登録型派遣添乗員の業務について、労基法38条の2第1項の「労働時間を算出し難いとき」に該当すると判断された例。
- 中川 純 (北星学園大学)
- 障害者差別禁止法の法的性質と現実的機能:救済と実効性確保の観点から
● 4月16日
- 川村 行論 (北海道大学大学院)
- 小学校廃校処分取消・損害賠償請求事件 最一小決 平成14年4月25日(判例地方自治229号52頁)
- 給水条例無効確認等請求事件 最二小決 平成18年7月14日(判例時報1947号45頁)
- 加藤 智章 (北海道大学)
● 4月23日
- 村田 英之 (弁護士)
- JAL労組ほか(プライバシー侵害)事件 東京地判 平成22年10月28日(労判1017号14頁)
- 労働組合による従業員の個人情報の収集等がプライバシー侵害にあたるとして慰謝料請求が認められたものの、会社による組織的な関与は否定された例。
- 浅野 高宏 (北海学園大学・弁護士)
- 協愛事件 大阪高判 平成22年3月18日(労判1015号83頁)
- Yを退職したXが、Yに対し、退職金の支払を求めたところ、請求が一部認容され、双方が控訴した事案において、平成7年の補則事項によって退職金額が3分の2に減額されることは明確であった上、もともと各自の捺印行為は、慎重かつ明示的に行われた意思表示ということができ、また、従業員が不承不承印鑑を押捺したといった事実をうかがわせる証拠もなく、平成7年の補則事項については、その内容の合理性、周知性を検討するまでもなく、全従業員の同意を得て定められた(改訂された)ものと認めるのが相当であるとし、Xの控訴を棄却し、Yの控訴に基づき、原判決を変更した事例。
5月
● 5月7日
- 上田 絵理 (弁護士)
- Y学園事件 大阪地判 平成22年5月14日(労働判例1015号70頁)
- 私立高校で部活動の顧問を務めていた教員が不正にPTAから施設費を得ていたことを理由とする免職処分は無効であるが、前任者の取り扱いを踏襲していた教員に対する減給処分は有効であるとされた例。
- 高橋 和征 (弁護士)
- 国・西脇労基署長(加西市シルバー人材センター)事件 神戸地判 平成22年9月17日(労判1015号34頁)
- 労災保険法にいう労働者は労基法に定める労働者と同義として、労働者に該当するか否かは、使用者の指揮監督の下に労務を提供し、使用者から労務の対償としての報酬が支払われている者として、使用従属関係にあるといえるかを基準として判断すべきであるとされた例。
● 5月21日
- 平賀 律男 (パラリーガル)
- ビーアンドブィ事件 東京地決 平成22年7月23日(労働判例1013号25頁)
- 不正経理の計上等を行った労働者に対する懲戒解雇が,労働契約法15条所定の懲戒処分の要件を充たさず無効であるとされた例。
- 開本 英幸 (弁護士)
- 新聞輸送事件 東京地判 平成22年10月29日(労判1018号18頁)
- 年俸制の労働者に対して,セクハラ行為等を理由に降格処分及び減給措置につき,降格処分は合理的な理由があるとされたが,減給措置は,年度途中の減給につき無効とされた例。
● 5月28日
- 松田 朋彦 (北海道大学大学院)
- 郵便事業(身だしなみ基準)事件 大阪高判 平22年10月27日 労働法律旬報1737号56頁
- ひげ・長髪の状態で勤務していた原告に対して、「身だしなみ基準」違反につきマイナスの人事評価を行い、また上司らがひげをそり、長髪を切ることをくり返し要求したことにつき、当該「身だしなみ基準」は合理的な制限とは認められず、故に当該行為はいずれも裁量権の逸脱により違法であるとした一審判決を高裁が支持した事例。
- 戸谷 義治 (学振研究員,北海道大学大学院)
- 国・中労委(INAXメンテナンス)事件 最三小判 平成23年4月12日 裁時1529号4頁/裁判所ホームページ
- 住宅設備機器の修理補修等を業とする会社と業務委託契約を締結してその修理補修等の業務に従事する者が,当該会社との関係において労働組合法上の労働者に当たるとされた事例。
6月
● 6月4日
- 小笠原 萌 (研究生)
- メッセ事件 東京地判 平成22年11月10日 労働判例1019号13頁
- 経歴詐称等を理由に、被告会社Yに懲戒解雇された原告Xが、本件懲戒解雇は無効であるとして、Yに対し、労働契約上の地位にあることの確認を求める事案。
- 國武 英生 (小樽商科大学)
- 郵便事業(連続「深夜勤」勤務)事件 東京高判 平成23年1月20日 労経速2099号3頁
- 連続「深夜勤」勤務により、うつ病に罹患するなどの損害を被ったとして債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為(人格権侵害)に基づく損害賠償を認容した原判決を取消し、請求を棄却した例。
● 6月11日
- 香川 志野 (弁護士)
- 京阪バス事件 京都地判 平成22年12日15日 労働判例1020号35頁
- 被告のバス運転手として勤務していた原告が、出庫点呼時に呼気にアルコールが検出されたことを理由とする解雇は、解雇権を濫用した無効なものであるとして、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金等の支払を求めた事案。被告において道路交通法上の酒気帯びの状態と断定できなかった者であっても諭旨解雇又は懲戒解雇とする運用があったかどうかは必ずしも明らかでないことを考慮すると、道路交通法上の酒気帯びの状態と断定できなかった原告について諭旨解雇とするのは社会通念上重きに失すものと評価せざるを得ず、解雇は無効とされた事例。
- 南 知里 (弁護士)
- 芝電化事件 東京地判 平成22年6月25日 労働判例1016号46頁
- 仕事がないから2名のうち1名には辞めてほしい旨の退職の協力要請が被告Y社工場の責任者からあったのに対し,原告Xら2名ともが退職を申し出て
いたところ,これは自主退職であるとして減額した退職金しか支払われていなかったことにつき,退職金規程にいう「やむを得ない業務上の都合」に当
たるものとして,会社都合の場合の退職金支給基準率が適用されるべきであるとされた例。
● 6月18日
- 井上 浩平 (北海道大学大学院)
- 16日目事件 大阪地判 昭和60年6月28日 判タ565号170頁
- 交通事故に遭って救急入院してのち16日目に被保険者証を提出した患者の療養給付に関し、保険医と患者(および連帯保証人)との法律関係を詳細に論じた事例。
- 所 浩代 (北海道大学助教)
- 東芝(うつ病・解雇)事件 東京高判 平成23年2月23日 労判1022号5頁
- 業務上疾病(うつ病)により就労不能となった期間の賃金請求権をめぐる問題(民法536条2項)。
- 使用者の安全配慮義務違反による損害賠償責任と労災保険法上の各種給付をめぐる問題。
● 6月25日
- 公共政策大学院シンポジウム
- 中島修氏 (厚生労働省社会・援護局地域福祉課地域福祉専門官)
- 「地域福祉の動向と先駆的地域福祉実践――厚生労働省安心生活創造事業を中心に」
- 大原裕介氏 (NPO法人当別町青少年活動センターゆうゆ24代表)
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