▼ 1月
● 1月9日
- 淺野 高宏 (弁護士)
- 井坂倉庫ほか事件 名古屋高判 平成20年12月25日 労判983号62頁
- 被控訴人会社の従業員であった被控訴人Eが高速道路上で被控訴人会社の大型トレーラーを運転中、居眠り運転をして亡Kが運転し亡L及び亡Mが同乗する車両に追突し、同車両を含む5台の自動車を巻き込む多重衝突事故を発生させ、Kら3名を死亡させた本件事故について、遺族である控訴人らが、被控訴人会社の従業員で運行管理者であった被控訴人H及びI、常務取締役で労働関係の管理責任者であったJ及び代表取締役であったGに対し、損害賠償を請求した事案で、被控訴人Gの過労・居眠り防止義務違反と本件事故との間に相当因果関係があり、被控訴人Gも他の控訴人と同額の不法行為責任を負うとして、この点につき原判決を変更した事例。
- 昭和観光〔代表取締役ら・割増賃金支払義務〕事件 大阪地判 平成21年1月15日 労判979号16頁
- S社の従業員であった原告らが、S社の取締役ないし監査役であった被告らに対し、被告らが、悪意又は重過失により、取締役ないし監査役の任務を懈怠して、S社をして、原告らに時間外労働等の割増賃金を支払わせなかったことによって、同割増賃金相当額の損害を被った旨主張して、平成17年改正前商法266条の3に基づき、連帯して、各自損害金等を支払うよう請求した事案において、同条にいう取締役及び監査役の善管注意義務ないし忠実義務は、会社資産の横領、背任、取引行為などの財産的範疇に属する任務懈怠だけでなく、会社の使用者としての立場から遵守されるべき労働基準法上の履行に関する任務懈怠も包含すると解すべきであり、原告らに労働基準法37条所定の割増賃金を支払わないことにつき、被告らには少なくとも重過失により上記義務違反があった等と認定して、原告らの請求を一部認容した事例。
- 道幸 哲也 (北海道大学)
● 1月16日
- 村田 英之 (弁護士)
- 京都市懲戒免職処分取消請求事件 京都地判 平成21年6月25日 労判985号89頁
- 京都市職員が勤務外で酒気帯び運転をしたことにより懲戒免職処分とされたが、処分が重過ぎるとして取り消された例。
- 北岡 大介 (社会保険労務士)
- 改正育児介護休業法への企業実務対応をめぐる法的課題について
● 1月23日
- 川久保 寛 (北海道大学大学院)
- 保護停止・廃止決定処分取消等請求事件 福岡地判 平成21年3月17日 判タ1299号147頁
- 生活保護停止処分および廃止処分を、手続違背や裁量の範囲の逸脱を理由に違法であるとし、取り消した事例。
- 嶋田 佳宏 (札幌学院大学)
- 社会保障異聞――韓国国民基礎生活保障法調査から見る社会保障の開発的要素と政治リスク
● 1月30日
- 所 浩代 (北海道大学大学院)
- ケントク(仮処分)事件 大阪地決 平成21年5月15日 労判989号70頁
- 重症筋無力症の罹患を理由としてパート従業員への身分の変更られた従業員が正社員としての雇用上の地位保全等を請求た例。
- 開本 英幸 (弁護士)
- 奈良県(医師・割増賃金)事件 奈良地判 平成21年4月22日 労判986号38頁
- 地方公務員である医師の宿日直の監視断続労働性と宅直の労働時間性について判示した事例。
▼ 2月
● 2月8日 ―― 特別開催
● 2月13日
- 加藤 純子 (弁護士)
- 松下プラズマディスプレイ事件 最二小判 平成21年12月18日 労判993号5頁
- 注文者が請負人の労働者に対して直接具体的な指揮命令を行ういわゆる偽装請負の場合であっても,注文者と請負人の労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとすることはできないとされた事例。
- 渡邊 岳 (弁護士)
● 2月20日
- 所 浩代 (北海道大学大学院)
- アメリカの障害者雇用政策――自立支援のあり方と課題
- 西山 裕 (北海道大学公共政策大学院)
- ダイレクトペイメントの日本への導入と制度面の課題についての考察
● 2月27日
- 平澤 卓人 (弁護士)
- リアルゲート(エクスプラネット)事件 東京地判 平成19年4月27日 労判940号25頁
- 人員派遣会社である原告が元の代表者及び従業らを被告にして、新会社以外の者らが共謀して原告の従業員に働きかけて引き抜き行為等をしたとして不法行為による損害賠償を請求した事案において、元代表者の原告在籍時及び退職後の行為を一体とした忠実義務違反、元取締役ほかの幹部だった者らの上記元代表者との共謀を認定し損害賠償金額の連帯支払を命じ、その余の被告ら元従業員及び新会社につき、元従業員らには誠実義務違反がなく、新会社との関係で設立後の元代表者の具体的な不法行為は認定できないとしてその限りで請求を棄却した事例。
- 後藤 雄則 (弁護士)
- 旭東広告社事件 東京地裁判決 平成21年6月16日 労判991号55頁
- 飲酒の席で専務に対して暴言・暴行を加えたことを理由として、定年後の再雇用契約により就労していた者を解雇した件につき、懲戒権の濫用に当たり解雇無効とされ、契約終了日までの未払賃金および慰謝料支払が命じられた事例
▼ 3月
● 3月6日
- 上田 絵理 (弁護士)
- 学校法人聖望学園ほか事件 東京地判 平成21年4月27日 労判986号28頁
- 私立中学、高校の学校長が任期満了時に退任決議をされ学校長の地位を否定され給与も減額されたことを争い、学校長として稼働する地位及び学校長たる給与の支払いを受ける地位にあることの確認、減額された賃金の支払い請求等をした事案。
- 中島 哲 (弁護士)
- ワイケーサービス(九州定温輸送)事件 福岡地小倉支部判 平成21年6月11日 労判989号20頁
- 親会社と子会社は、それぞれ別個の法人格を有する法人であり、親会社は子会社の従業員に対して雇用契約上の責任を当然に負うものではないが、子会社の法人格が、形骸に過ぎない場合または法的責任を回避するために濫用されている場合には、いわゆる法人格否認の法理により、子会社の従業員が親会社に対し雇用契約上の責任を追及することも認めうるとされた例。
● 3月27日
- 渡邊 賢 (大阪市立大学)
- 道幸 哲也 (北海道大学)
▼ 4月
● 4月3日
- 開本 英幸 (弁護士)
- 多田 真之介 (弁護士)
- 河合塾(非常勤講師・出向契約)事件 福岡高判 平成21年5月19日 労判989号39頁
- 期間1年間の出講契約を25年継続してきた非常勤講師と学校法人との関係について、その法的関係は労働契約関係であると判断した上で、次年度の契約が成立しなかったのは原告の意思で契約締結を拒否したものであって雇止めにはあたらないが、その原因となったのが学校法人側の強行一辺倒の態度にあったとして、その限度で不法行為の成立を認めた事例。
● 4月10日
- 迫田 宏治 (弁護士)
- 協愛事件 大阪地判 平成21年3月19日 労判989号80頁
- 退職金減額を定めた就業規則の表紙等になされた原告の押印または署名押印は、それら就業規則の内容を了承または同意したものとの趣旨のものであると推認できるとした上で、使用者が労働者に不利益な労働条件を定める就業規則に変更するにあたり、個々の労働者が同変更に同意した場合においても、そのことから直ちに労働条件の内容が同変更後の就業規則の内容に変更されるとは認められないとの判断基準を示した例。
- 戸谷 義治 (学振特別研究員,北海道大学大学院)
● 4月17日
- 山田 哲 (東京農業大学)
- 早稲田大学(年金減額)事件 東京高判平成21年10月29日 労判995号5頁
- 大学が年金規定を改定し年金支給額を減額したことについて、受給者らの年金受給権の確認請求を認容した原判決を取り消して、その請求を棄却した例。
- 早坂 悟郎 (弁護士)
- 日本板硝子事件 東京地判 平成21年8月24日 労判991号18頁
- 定期的・定例的な早期退職優遇制度(ネクストライフサポート制度)の適用を受けるために退職届を提出した原告が,その後に実施が決定された新たな早期退職優遇制度(早期退職者優遇措置)に応募するために当該退職届による退職の意思表示を撤回したことにつき,右撤回はその効力を有さず,また,早期退職者優遇措置の対象者からネクストライフサポートを除外する旨の条項につき,公序良俗に反さず,さらに,原告による均等待遇取扱義務違反等の主張が排斥され,原告がした二つの早期退職制度間の退職金差額相当額の請求等が棄却された例。
● 4月24日
- 川久保 寛 (北海道大学大学院)
- ホームヘルプサービス事業廃止損害賠償請求事件 名古屋地判 平成20年3月26日 判例時報2027号57頁
- 名古屋市がホームヘルプ事業を廃止して利用契約を解除したことに対して、事業の利用者であった原告が、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を求めた訴訟について、請求が棄却された事例。
- 片桐 由喜 (小樽商科大学)
- 虐待法制の課題――近親者からの虐待・暴力における保護と支援を中心として
▼ 5月
● 5月1日
- 戸谷 義治 (学振特別研究員,北海道大学大学院)
- 所 浩代 (北海道大学助教)
- 日本通運(日通淀川運輸)事件 大阪高裁 平成21年12月16日 労判997号14頁
- 系列会社からの移籍時に最低保障額に約束があったとして、未払い賃金の支払いを認めた原審の判断を取消し、控訴人の差額賃金請求を棄却した例。
- 後藤 雄則 (弁護士)
- 東亜交通事件 大阪地判 平成21年9月3日 労判994号41頁
- 入社希望者に普通第2種免許取得のための教習費等を貸し付ける貸与制度を有するタクシー会社が、元乗務員の原告らに対してなした資格取得費返還請求につき、教習所での教習期間中の教習費および就職支援金は労働の対価としての実質を備えたものとはいえず、教習費等を支出した時点で消費貸借契約が成立したと認められ、800日の常務完了を教習費等の返還免除の条件とする本件返還合意が労基法16条に違反しないとして、請求が認容された例。
● 5月8日
- 高橋 和征 (弁護士)
- 大阪エムケイ事件 大阪地判 平成21年9月24日 労判994号20頁
- 就業規則及び賃金規程の変更に関して、原告Aらがその適用を争っていないことから変更内容自体は合理性を有するものとした上で、その効力を遡らせることについては、各従業員の同意がなかったとして、それらが従業員に閲覧可能となった時点以前の効力が否定されるなどした例。
- 加藤 智章 (北海道大学)
- 前田道路事件 高松高判 平21年4月23日 労判990号134頁
- 富国生命保険事件 鳥取地米子支判 平21年10月21日 労判996号28頁
● 5月22日
- 村田 英之 (弁護士)
- ビクターサービスエンジニアリング事件 東京地判 平成21年8月6日 労判986号5頁
- ビクター製品の修理業務を代行している者は労組法3条の労働者に当たらないと判示して、会社の団交拒否を不当労働行為に当たるとした中労委の命令を取消した事例。
- 西 博和 (弁護士)
- 全日通労働組合事件 大阪高判 平成22年2月25日 労判997号94頁
- 労動組合(被告)が、支部の役員選挙に立候補した組合員(原告)の所信表明等を記載したビラについて、不適切な表現がある等として当該所信表明部分を削除したことにつき、人格的利益を侵害する不法行為として、組合員の慰謝料請求を認めた一審判断が相当とされた事例。
● 5月29日
- 川村 行論 (北海道大学大学院)
- 混合診療事件 東京高判 平成21年9月29日 判例タイムズ1310号66頁
- 混合診療を受けた場合、「療養の給付」(健康保険法63条1項)を受けることができる権利を有することの確認を求めた事例
- 加藤 智章 (北海道大学)
▼ 6月
● 6月5日
- 倉本 和宜 (弁護士)
- 学校法人純真学園事件 福岡地判 平成21年6月18日 労判996号68頁
- 労働組合の委員長であった原告が、新規教員採用の妨害等を理由に懲戒解雇されたことを不服として、地位確認等を求めた事案において、就業規則に規定される懲戒事由に該当する非違行為の存在は認められるが、当該非違行為の態様や原告の処分歴・被告に対する貢献度から、当該非違行為のみを理由に懲戒解雇とすることは、処分として重きに失し、非違行為と処分との均衡を欠くものであること等を理由に解雇を無効として、原告の請求を一部認容した事例。
- 上田 絵里 (弁護士)
- 京都市(職員・勤務管理義務違反)事件 大阪高判 平成21年10月1日 労判993号25頁
- 市立学校の教員が給特法(現「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」)及び条例に基づく時間外勤務を超える違法な職務従事があったとして、時間外勤務に対する損害賠償ないし未払賃金を請求した事案
● 6月12日
- 南 千里 (司法修習生)
- 音更町農業協同組合事件 釧路地裁帯広支判 平成21年2月2日 労判990号196頁/判時2056号110頁
- 農協に勤務する職員が過労によりうつ病に罹患して自殺した事故につき、農協に職員に対する安全配慮義務違反があるとして損害賠償責任が認容された事例。
- 迫田 宏治 (弁護士)
- 社団法人キャリアセンター中国事件 広島地判 平成21年11月20日 労判998号35頁
- 派遣労働契約の中途解約の有効性を判断するに際して、派遣元会社と派遣先会社を一体とした「使用者側」とみて「やむを得ない事由」の有無を検討すべきとされ、本件の事情からすれば、派遣労働契約をあえて期間満了前に解消しなければならないようなやむを得ない事由を認めることはできないと判断された事例
● 6月19日
- 後藤 雄則 (弁護士)
- ボス事件 東京地判 平成21年10月21日 労働経済判例速報2064号19頁
- コンビニエンスストアの従業員が会社に対して未払賃金と付加金の支払いを求めたことにつき,当該従業員は店長であって店の経営に一定の裁量権を有しているものの,その権限・勤務態様。賃金等の待遇を考慮すると,労基法41条2号の管理監督者に該当するとまではいえないとして賃金の支払いを認めた例。
- 浅野 高宏 (弁護士)
- ことぶき事件 最2小判 平成21年12月18日 労判1000号5頁
- 美容室および理容室を経営する被上告人に雇用されていた上告人が、労働基準法37条3項に基づく深夜割増賃金等の支払を求めた事案の上告審において、労働基準法41条2号の規定によって同法37条3項の適用が除外されることはなく、管理監督者に該当する労働者は同項に基づく深夜割増賃金を請求することができるものと解するのが相当であるとされた事例。
● 6月26日
- 高野 亜紀 (司法修習生)
- 社会福祉法人侑愛会事件 青森地判 平成21年12月25日 労判998号22頁
- 社会福祉法人Yが設置運営する知的障害児施設の寮に入所していた被災者Kが、他の入所者から暴行等を受けていたことにつき、[1]Yに安全配慮義務違反があっ
た、[2]YがKの両親に対して本件行為の詳細を報告すべき義務を信義則上負っていたものと解することはできないとされた事例。
- 所 浩代 (北海道大学助教)
- 地公災基金静岡支部長(小学校教員・自殺)事件 東京高判 平成20年4月24日 労判998号57頁
- 勤続20年以上の小学校教員が、新たに設置された養護学級の担任となり、体験入学のイベントを行ったのちに自殺した事案。一審は、業務負荷は、社会通念上客観的にみて、うつ病を発症させる程度に過重ではないとして請求を棄却したが、2審において、本件うつ病の発症は、業務上の精神的重圧によるとして、公務外認定処分が取り消された事例。
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