▼ 7月
- 7月6日
- 中川 純 (北星学園大学)
カナダにおける福祉の憲法的根拠とその制約法理
- 福祉国家であるカナダにおいては、実体的デュープロセスと平等権を社会保障の憲法的根拠としている。本報告では、それらが憲法上の根拠として確立する過程と制限的な制約法理を紹介する。
- 片桐 由喜 (小樽商科大学)
大阪市生野区福祉事務所事件 大阪地判 平成13年3月29日判決 賃社1298号67頁
- 生活保護費の受給申請をしたのに、福祉事務所の職員が申請書を交付しなかったため1年間生活保障費が受給できなかったとして、重度の障害を持つ男性が大阪市等に損害賠償を求めたのに対し、1年分の生活保護費全額と慰謝料30万円の支払が認められた例
- 7月13日
- 渡辺 賢 (帝塚山大学)
道幸 哲也 (北海道大学)
公務員制度改革と労働法の検討課題
- 橋本 孝夫 (北海道大学大学院)
大阪教育合同労組事件 控訴審 大阪高判 平成14年1月22日 判例集未登載
大阪教育合同労組事件 第一審 大阪地判 平成13年5月9日 判例集未登載
大阪教育合同労組事件 労委命令 大阪地労委 平成11年12月24日 労旬1479号61頁
- 公私立の学校教員等適用法規の異なる労働者で構成された混合組合の不当労働行為救済申立てにつき、団交拒否等に係る申立ての救済申立人的確を否定し、非常勤講師らの夏期一時金廃止は不利益取扱に該当しないとした地労委命令の取消請求を棄却した原審判決が維持された例
- 7月20日 休会
- 7月24日(水) ‐ 特別例会
- 水町 勇一郎 (東北大学)
解雇規制は本当に必要か?
- 道幸 哲也 (北海道大学)
労働過程におけるミスを理由とする使用者からの賠償請求法理
- 大阪高判 平成13年4月11日 判時1770号101頁
- 秋田運輸事件 名古屋地判 平成10年9月16日 判時1656号147頁/労判747号26頁
- 7月25日(木) ‐ 特別例会
- 7月27日 休会
▼ 8月
- 8月3日〜5日 ‐ 北海道クールセミナー
- 公務員制度改革と労働法の検討課題
- 司法制度改革と社会保障法 〜 司法制度改革が投げかけるもの
- 『新時代』の労働法を考える
- 8月24日
- 大澤 将 (北海道大学大学院)
日経クイック情報(電子メール)事件 東京地判 平成14年2月26日 労判825号50頁
- メールファイルの点検は、事情聴取により原告が誹謗中傷メールの送信者である疑いをぬぐい去ることができず、また、原告の多量の業務外の私用メールの存在が明らかになった以上行う必要があるとし、その内容は会社が所有し管理するファイルサーバー上のデータ調査であることから、社会的に許容しうる限界を超えて原告の精神的自由を侵害した違法な行為とはいえないとされた例。
F社Z事業部(電子メール)事件 東京地判 平成13年12月3日 労判826号76頁
- 原告らの電子メール私的使用の程度は限度を超えており、被告による監視という事態を招いた原告Aの責任、監視された電子メールの内容、事実経過を総合すると、被告Cの監視行為は社会通念上相当な範囲を逸脱したとはいえず、原告らが法的保護に値する重大なプライバシー侵害を受けたとはいえないとして閲読を理由とする損害賠償請求が棄却された例。
- 國武 英生 (北海道大学大学院)
日本ヒルトンホテル(本訴)事件 東京地判 平成14年3月11日 労判825号13頁
日本ヒルトンホテル(本訴)事件 東京地決 平成11年11月24日 労旬1482号31頁
- 配膳人に対する労働条件を本件通知書の内容に従って変更することには経営上の必要性が認められ、その不利益変更の程度や組合との間で必要な交渉を行っていること、配膳人のうち95%に相当する者の同意が得られていること等の事情は、原告ら配膳人の労働条件切下げを正当化する理由とはなりえても、直ちに原告らに対する本件雇止めを正当化するに足る合理的な理由であるとは認めがたいものであるとされ、被告は、原告らとの間で日々雇用契約の更新を拒否することは許されないとされた例。
- 8月31日
- 片桐 由喜 (小樽商科大学)
みくまの農協(新宮農協)事件 和歌山地判 平成14年2月19日 労判826号67頁
- 農協給油所長の精神状態が不安定となったのが台風後であり、他に自殺を考えるような原因が一切窺われず、台風への対処のまずさなどを思い悩んで精神疾患に罹患した末に自殺したもので、自殺と業務遂行との間に因果関係が認められるとされた例。
- 大石 玄 (北海道大学大学院)
鞆鉄道事件 広島地福山支判 平成14年2月15日 労判825号66頁
- 希望退職に応じなかった56歳以上の従業員の基本給を30%減額する旨の協約につき、内容自体が不合理で、かつ、手続的正当性も不十分であるとして、規範的効力を原告らに及ぼす根拠がないとされた例。
▼ 9月
- 9月7日
- 斉藤 善久 (日本学術振興会特別研究員)
香川県農協(丸亀市農協)事件 高松地判 平成13年9月25日 労判823号56頁
- 合意・協定に基づき在籍専従し、給与の支払いを受けていた組合役員に対する懲戒解雇処分につき、農協役員らの背任行為への加担、不当利得当の就業規則上の懲戒事由があり、濫用にもあたらないとされた例。
- 林 良栄 (北海道大学大学院)
本四海峡バス(本訴)事件 神戸地判 平成13年10月1日 労判820号41頁
本四海峡バス(仮処分・団体交渉)事件 神戸地決 平成12年3月14日 労判781号31頁
本四海峡バス(ユシ解雇)事件 神戸地決 平成12年1月31日 労判781号38頁
- 組合の地方本部および組合支部からの会社への団体交渉を求め得る地位確認請求が適法とされ、両者とも会社に対する団体交渉権を有し、交渉条項も労組法により使用者が団体交渉を義務づけられている事項にあたるとして、両者の地位確認が認められた例。
- 9月14日
- 橋本 孝夫 (北海道大学大学院)
中労委(朝日火災海上)事件 東京地判 平成13年8月30日 労判816号27頁
中労委(朝日火災海上)事件 労委命令 中労委 平成10年1月21日命令 労判746号95頁
- 組合員らに対する人事考課の最終評定決定は、同人らの組合活動を嫌悪し、その活動を弱体化させることを企図してされた恣意的な判断といわざるをえず、同人らに対する不利益取扱いであるとともに組合支部に対する支配介入に当たるとして、賃金、賞与当の是正を命じた労委の救済命令が支持され、会社の取消請求が棄却された例。
- 國武 英生 (北海道大学大学院)
日本経済新聞社(記者HP)事件 東京地判 平成14年3月25日 労判827号91頁
- 編集記者が、不特定多数の者が内容を知りうる可能性のあるウェブサイト上に、業務上知り得た事実や体験を題材とした文書を掲載することは、新聞社における職務と密接に関連するものであるから企業秩序維持の観点から懲戒処分事由に該当する場合があるとされた例。
- 9月21日 - 日本労働法学会 第104回大会 準備報告
- 道幸 哲也 (北海道大学)
公務員労働団体の代表法理 −公務員の集団的労働条件決定システム−
- 渡辺 賢 (帝塚山大学)
行政機関の多様性と労働条件決定システム −独立行政法人も含めて−
- 9月28日
- 中川 純 (北星学園大学)
カナダにおける社会保障に関する憲法上の権利
- 山田 哲 (北海道大学大学院)
企業年金の法理論
▼ 10月
- 10月12日
- 本久 洋一 (小樽商科大学)
配転制度をめぐる法理論の現在
- 大澤 将 (北海道大学大学院)
野村證券(留学費用返還請求)事件 東京地判 平成14年4月16日 労判827号40頁
- 本件留学費用返還の合意は、会社から労働者に対する貸付たる実質を有し、労働者の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要するものではなく、労基法16条に違反しないとして、費用の一部返還請求が認容された例。
- 10月19日
- 倉田 聡 (北海道大学)
老人保健拠出金の問題点と健康保険事業の可能性
- 草刈 順子 (北海道労働基準監督署)
能代労基署長事件 秋田地判 平成12年11月10日 労判800号49頁
- 秋田県能代市の工事現場で就業していた新潟県在住の労働者が、帰省先の自宅から就業の場所である工事現場近くの寮に車で戻る途中、崖から転落して死亡したことが通勤災害にあたるか否かが争われた例。
- 10月26日
- 橋本 孝夫 (北海道大学大学院)
日本郵便逓送(臨時社員・損害賠償)事件 大阪地判 平成14年5月22日 労判830号22頁
- 臨時社員について、正社員と異なる賃金体系によって雇用することは、正社員と同様の労働を求める場合であっても、違法ではないとして、正社員との賃金差額相当額の損害金の支払いを求めた臨時社員の請求が棄却された例。
- 國武 英生 (北海道大学大学院)
創栄コンサルタント事件 大阪地判 平成14年5月17日 労判828号14頁
- 会社が、年俸制として、時間外労働割増賃金、諸手当、賞与を含めた賃金の定め方につき、時間外割増賃金部分を本来の基本給部分と区別して確定できないから、労基法37条1項に違反して無効となるとして、時間外割増賃金等を支払う義務があるとされた例。
▼ 11月
- 11月2日
- 岩村 正彦 (東京大学)
これからの労働法学・社会保障法学に求められるもの
- 倉田 聡 (北海道大学)
ドイツの疾病保険制度における診療報酬のあり方とその審査支払システムについて
- 11月9日
- 菅野 淑子 (北海道教育大学岩見沢校)
労働判例回顧――女性労働
- 大澤 将 (北海道大学大学院)
S社(性同一性障害者解雇)事件 東京地決 平成14年6月20日 労判830号13頁
- 服務命令に違反して女性の容姿をして出勤した債権者の行為は、就業規則所定の懲戒解雇事由に当たり得る。しかしながら、債務者には債権者の性同一性障害の事情を理解し、その申出に関する自らの意向を反映させようとする姿勢が欠けていたこと、女性の容姿での就労を認められることが、企業秩序または業務遂行に著しい支障を来すと認めるに足る疎明がないこと、等の事情に照らせば、懲戒解雇に相当するまでの重大かつ悪質な企業秩序違反と認めることができないとされた例。
- 11月16日
- 新谷 眞人 (北海学園北見大学)
中労委(日本アイ・ビー・エム)事件 東京地判 平成14年2月27日 労判830号66頁
中労委(日本アイ・ビー・エム)事件 再審査 中労委命令 平成10年8月5日 労判755号91頁、別冊中時1215号45頁
中労委(日本アイ・ビー・エム)事件 初審命令 東京地労委命令 平成6年4月19日 労判658号87頁、別冊中時1147号3頁
- 使用者は団体交渉において賃金制度の公開あるいは関連資料の提出をする義務はなく、組合が具体的要求をすることなく、単に資料の提出を求めている場合には、これを提示できない合理的理由を述べれば誠実義務に違反しないが、使用者が資料を提示できない合理的理由を明らかにしたとはいえないとして、誠実交渉義務に違反したと結論づけた中労委命令が維持された例。
- 斉藤 善久 (日本学術振興会特別研究員)
就業規則の不利益変更に関する最近の裁判例
- 11月30日
- 関 芙佐子 (北海道大学)
北本市要介護高齢者『ケース記録』開示請求事件 さいたま地判 平成14年3月20日 賃社1329号50頁
北本市要介護高齢者『ケース記録』開示請求事件 東京高判 平成14年9月26日 判例集未登載
- 要介護の高齢者とその家族が、市制定の個人情報保護条例に基づいて、市所属のケースワーカーが作成した生活指導記録(ケース記録)開示を求めた事案。
- 天田 孝 (札幌市役所)
支援費支給制度の準備状況と行政実務上の法律問題
▼ 12月
- 12月7日
- 三浦 保紀 (道医労連)
岡山セクハラ(労働者派遣会社)事件 岡山地判 平成14年5月15日 労判832号54頁
- 派遣会社の女性支店長2名への、上司である専務取締役によるセクシュアルハラスメント行為は、上司としての立場を利用して行われ、両名を退職に追い込むほどに職場環境を悪化させたもので、不法行為にあたるとされた例。
- 北岡 大介 (北海道大学大学院)
岡田運送事件 東京地判 平成14年4月24日 労判828号22頁
- 懲戒解雇の要件は満たさないとしても、当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており、懲戒解雇にいたる経緯に照らして、使用者が懲戒解雇の意思表示に、予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には、懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されていると認めることができるとされた例。
- 12月14日
- 辻村 昌昭 (淑徳大学)
労働法における法解釈の方法について
- 小宮 文人 (北海学園大学)
イギリスの解雇紛争処理制度とその運用実態
- 12月21日
- 橋本 孝夫 (北海道大学大学院)
整理解雇に関する最近の裁判例
- 國武 英生 (北海道大学大学院)
キョーイクソフト事件 東京地裁八王子支判 平成14年6月17日 労判831号5頁
- 年功序列的な賃金体系を職務給・職能給の体系に変える目的の就業規則改定が、原告らに対しこれを法的に受忍させることもやむを得ない程度の高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるということはできないとして、本件就業規則改正前に実効的であった基準に基づく賃金との差額を支払うべきであるとされた例。
日本ロール製造事件 東京地判 平成14年5月29日 労判832号36頁
- 旅費規定の日帰り出張手当、外出時食事補助、時間外食事代、夜勤手当の変更・廃止はいずれも、高度の必要性に基づくものとはいえず、必要性について従業員に対する説明も不十分であるから無効であるとされた例。
